東京都「製品改良・認証取得」助成金が受付開始 最大500万円、製造業が確認したい5つのポイント

補助金・助成金

東京都中小企業振興公社は2026年9月7日、「令和8年度 製品改良/規格適合・認証取得支援事業」の申請受付を開始しました。

助成限度額は500万円、助成率は助成対象経費の2分の1以内。自社製品の改良に加え、CEマーキングやISO・IEC規格などへの適合・認証取得も対象となります。

申請期限は2026年9月30日(水)17時です。

ただし、「500万円まで設備を購入できる助成金」と考えるのは適切ではありません。生産・量産用の機械装置など、一般的な設備投資を目的とする事業は対象外です。

東京都の中小製造業が申請を検討する際、特に確認しておきたい5つのポイントを解説します。

この記事のポイント

  • 助成限度額500万円、助成率1/2以内。申請は9月30日17時まで
  • 製品改良だけでなく、ISO9001やISO27001などの認証取得も対象
  • 生産・量産設備への一般的な設備投資は対象外
  • 製品改良に直接従事する人件費も助成対象経費として計上できる
  • 申請時に設定した「達成目標」の全達成が助成金交付の条件

何が起きたのか

東京都中小企業振興公社が9月7日、「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」の電子申請受付を開始しました。

対象となる事業は、大きく次の2種類です。

① 製品改良プロジェクト

自社で開発した製品について、機能追加・性能向上、省電力化、低コスト化、小型・軽量化、量産化デザイン、試験・評価、実証データ取得などを行う事業です。自社開発ソフトウェアの改良も対象となります。

② 規格適合・認証取得プロジェクト

CEマーキングやISO・IEC規格等への適合・認証取得を目指す事業です。

製品そのものの認証だけでなく、ISO9001やISO27001などの組織的なマネジメントシステム認証も対象とされています。

制度概要

項目内容
助成限度額500万円
申請下限額50万円
助成率助成対象経費の1/2以内
申請期間2026年9月7日~9月30日17時
申請方法Jグランツ
必要IDGビズIDプライム

誰に関係するのか

特に検討価値が高いのは、すでに自社製品や自社技術を持ち、「次の市場へ進むための改良」や「取引・市場参入等に必要な認証取得」を計画している都内中小企業です。

東京都中小企業振興公社は活用例として、精密加工技術を活用した医療機器市場への参入に向けたISO13485取得や、海外展開に向けたCEマーキングへの対応などを示しています。

また、製造業だからといって自社工場を保有していることが絶対条件ではありません。

FAQでは、製造設備を持たないファブレス企業も申請可能とされています。ただし、構想・企画・仕様策定など、製品改良の主要部分を自社で行う必要があります。

一方、他社から受託して製造・開発している製品などについては、自社開発製品として扱えない場合があります。

つまり、「自社がどこまで製品の企画・仕様・改良を主体的に担っているか」が重要な確認ポイントです。

なお、助成事業の実施場所は原則として東京都内ですが、要件を満たせば埼玉県、千葉県、神奈川県など首都圏にある自社の事業所・工場等も対象になり得ます。

そのため、例えば「本社は東京、工場は埼玉」といった製造業にも利用できる可能性があります。

製造業が確認したい5つのポイント

1.一般的な「設備投資助成金」ではない

最初に確認しておきたいポイントです。

募集要項では、生産・量産用の機械装置や金型の導入など、設備投資そのものを目的とする事業は対象外とされています。

一方、製品改良や試験・評価に直接必要となる機械装置・工具器具等は対象になり得ます。

例えば、

「新しい加工機を購入して生産能力を増やしたい」

という計画と、

「自社製品の性能向上や試作・評価のために特定の機器が必要」

という計画では、制度上の位置付けが異なります。

設備を購入できるかだけではなく、その設備が製品改良プロジェクトにどう直接必要なのかを確認する必要があります。

2.ISOなどの認証取得だけでも利用できる

製品を改良しない場合でも、規格・認証取得のみを目的とした申請が可能です。

対象例には、

  • ISO9001
  • ISO27001
  • ISO13485
  • CEマーキング
  • FCC認証
  • IEC
  • JIS Q 9100
  • ISO22000
  • PSE
  • UL規格

などがあります。

ただし、組み合わせには注意が必要です。

CEマーキング+UL規格 → 申請可能

ISO9001+ISO27001 → 申請可能

である一方、

CEマーキング+ISO9001 → 同一申請では不可

とされています。

製品に対する認証と組織的なマネジメントシステム認証を同一申請で組み合わせることはできません。

3.自社の開発人件費も対象になり得る

製品改良工程に直接従事する役員・従業員等の人件費については、助成対象経費として計上できる限度額が350万円とされています。

制度全体の助成率は2分の1以内です。

外注費や設備費だけでなく、自社のエンジニアや技術者が製品改良へ直接投入する工数も対象になり得る点は、開発型の中小製造業にとって重要です。

ただし、統括、スケジュール管理、進行管理、資料収集、一般的な調査など、製品改良工程に直接関係しない業務は対象外です。

4.2027年2月1日より前の契約・発注に注意

今回の助成対象期間は、2027年2月1日から始まります。

募集要項では、助成対象経費について契約・発注、取得、実施、支払いなど一連の手続きを助成対象期間内に行う必要があります。

そのため、原則として2027年2月1日より前に契約・発注した経費は助成対象になりません。

「申請したから先に発注してよい」と判断しないことが重要です。

設備や外注先の選定をすでに進めている企業ほど、契約・発注のタイミングを募集要項と照合しておく必要があります。

5.「達成目標」は慎重に設定する

この制度で特に注意したいのが、申請書に記載する達成目標です。

募集要項では、申請書に記載した達成目標をすべて達成することが助成金交付の条件とされています。

さらに、申請書に記載した達成目標は、助成事業完了まで変更できません。

これは単なる審査上のアピール項目ではありません。

経営NEXT TOKYO編集部の分析

採択を意識するあまり、実現可能性を超えた数値目標を設定することは慎重に考える必要があります。

例えば「重量を20%削減」「処理速度を30%向上」といった定量目標を設定する場合、期間内に達成できるかだけでなく、最終的に成果を客観的に確認・説明できるかまで考えておく必要があります。

「高い目標を書くこと」より、「事業として意味があり、期間内に達成・検証できる目標を設定すること」が重要と考えられます。

※これは募集要項の条件を踏まえた経営NEXT TOKYO編集部の分析です。

経営にどう影響するのか

本制度の特徴は、新製品をゼロから開発する企業だけでなく、すでにある製品を次の市場へ適合させるための投資を支援している点です。

中小製造業では、「技術的には製品を作れるが、顧客が求める性能・規格を満たしていない」「認証取得のコストが新市場への参入障壁になっている」といったケースがあります。

そうした企業にとって、今回の助成制度は、既存技術を新しい市場や取引先につなげるための投資手段になり得ます。

一方、一般的な生産設備の更新を計画している企業には、本制度よりも設備投資を直接対象とする別の支援制度が適している可能性があります。

助成金額から考えるのではなく、自社の投資目的と制度目的が合っているかを先に判断することが重要です。

経営者は何をすべきか

NOW|まず確認すること

「自社開発製品の改良」または「規格・認証取得」という制度目的に、自社の計画が該当するかを確認します。

特に設備導入を予定している場合は、生産・量産設備の購入そのものが目的になっていないか確認してください。

NEXT|該当する場合の行動

該当する可能性がある場合は、最新の募集要項を確認したうえで、

  • 申請するプロジェクトの範囲
  • 達成目標
  • 助成対象経費
  • 必要な見積書
  • 契約・発注予定日

を整理します。

申請はJグランツで行い、GビズIDプライムが必要です。

申請期限は2026年9月30日17時です。

WATCH|今後確認すること

申請締切までに、東京都中小企業振興公社からFAQや申請関連情報が更新される可能性があります。

特に、契約・発注時期、助成対象経費、達成目標について判断が難しい場合は、自己判断だけで進めず、最新の募集要項・FAQを確認し、必要に応じて東京都中小企業振興公社への確認を検討してください。

経営NEXT TOKYO編集部の視点

この制度で注目したいのは、500万円という助成額以上に、中小企業の「既存技術を次の市場へ進める投資」を支援していることです。

中小製造業にとって、新製品を一から開発することだけが成長投資ではありません。

既存製品の性能を上げる。軽量化する。試験データを取得する。ISOやCE等へ対応する。

こうした「あと一段」の投資によって、新しい顧客や市場へ進めるケースがあります。

「すでに製品はある。しかし、次の市場へ進むための改良や認証が必要だ」

という企業ほど、今回の制度を確認する価値があります。

一方、単なる設備更新を目的とする企業には適さない制度です。

「何を買いたいか」ではなく、「その投資によって自社製品をどの市場へ進めたいのか」から申請の適否を考える。

これが本制度を見る上で重要なポイントです。

公式情報・出典

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