東京都中小企業振興公社は2026年9月14日、「課題解決型技術開発促進事業」の令和8年度第2回について、申請受付を開始しました。
今回募集されているのは、「課題解決型製品・サービス等の試作品開発・改良助成」です。
助成限度額は2,000万円、助成率は助成対象経費の3分の2以内。申請期限は2026年10月30日17時です。
金額の大きさに目が向きますが、この制度は単に設備を導入するための助成ではありません。
東京都が掲げる都市課題の解決につながる製品・サービスについて、市場投入・事業化を目指した試作品の開発・改良を支援する制度です。
申請を考える際は、まず「最大いくら受けられるか」ではなく、自社の開発計画が制度の目的や対象事業に合っているかを確認する必要があります。
まず押さえたい第2回の制度概要
| 申請受付期間 | 2026年9月14日~10月30日17時 |
|---|---|
| 助成限度額 | 2,000万円 |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象期間 | 2027年4月1日~2028年12月31日(最長1年9か月) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請 |
| GビズID | GビズIDプライムが必要 |
助成対象期間内に、申請書で設定した達成目標を満たす試作品を完成させる必要があります。
主な対象は、東京都内で事業を行う中小企業者(法人・個人事業者)や中小企業団体等、東京都内での創業を具体的に計画している個人です。
法人の場合は、2026年9月1日時点で東京都内に登記上の本店または支店があることなど、所在地や事業実態に関する要件があります。自社が申請要件を満たすかは、募集要項で個別に確認してください。
対象となるのは「4分野の課題解決につながる開発」
申請する事業は、次の4つの支援テーマから最も該当するものを1つ選択します。
- 持続可能で安全・安心な東京の実現に関するもの
- 高齢者・障害者のニーズを満たすもの、又は介護従事者の負担軽減に関するもの
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関するもの
- 暑さ対策に関するもの
募集要項では、防災・減災、次世代介護機器、業務効率化、熱中症対策など、それぞれのテーマについて例が示されています。
ただし、「DXに関係している」「暑さ対策に使えそう」といった理由だけで対象になるわけではありません。
対象となるのは、市場投入・事業化を目指す製品・サービスの核となるハードウェアまたはソフトウェアの試作品について、設計・製作・試験評価などを行う開発・改良です。
自社が何を開発し、それがどの都市課題の解決につながり、最終的にどのような製品・サービスとして事業化されるのかを整理する必要があります。
「設備を買うだけ」では対象にならない
製造業の経営者が特に注意したいのが、機械装置・工具器具費が助成対象経費に含まれているからといって、設備投資そのものが対象になるわけではない点です。
募集要項では、生産・量産用の機械装置や金型の導入など、設備投資を目的とする事業は助成対象外とされています。
また、代表的な対象外事業として、次のようなものがあります。
- すでに量産段階にある技術や、すでに事業化され収益を上げている事業
- 技術的な開発・改良要素がない事業
- 申請時点で開発・改良がおおむね終了している事業
- 開発・改良の全部または大部分を外注する事業
つまり、「新しい設備を導入したい」のか、「新しい製品・サービスの試作品を開発・改良したい」のかを分けて考える必要があります。
研究だけではなく「どう売るか」まで必要
もう一つ重要なのが、研究開発だけで完結する事業では対象にならないことです。
募集要項では、助成事業の成果を活用した製品・サービスについて、具体的な販売を計画していることが採択要件とされています。
さらに審査では、市場性について販売戦略や競争優位性なども確認されます。
つまり、技術的に「作れるか」だけでなく、
誰のどんな課題を解決するのか。
完成後、誰にどのように販売して事業化するのか。
まで考えておく必要があります。
経営NEXT TOKYOでは、これは助成金申請だけの問題ではなく、製品開発そのものに必要な経営判断だと考えます。
どんな経費が対象になる?
助成対象経費は、大きく次の7区分です。
- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費
- 委託・外注費
- 産業財産権出願・導入費
- 直接人件費
- 専門家指導費
- 規格認証・登録費
ただし、それぞれに対象となる条件があります。
例えば、機械装置費が対象経費に含まれていても、生産・量産用の設備導入は対象外です。また、委託・外注費が対象でも、開発の全部または大部分を外部へ委ねる事業は対象になりません。
個別経費の対象可否については、必ず最新の募集要項を確認してください。
申請前に特に確認したい注意点
申請はJグランツで行い、GビズIDプライムアカウントが必要です。
GビズIDプライムは発行まで時間がかかる場合があるため、未取得の場合は早めに準備しておく必要があります。
経費の発生時期にも注意が必要です。
原則として、発注または契約、取得・実施、支払いまでの一連の手続きを助成対象期間内に行う必要があります。
助成対象期間は2027年4月1日からのため、それ以前に発注・契約等を進める場合は対象可否に注意してください。
また、同一の申請テーマ・内容(経費)について、東京都中小企業振興公社、国、都道府県、区市町村等から重複して助成を受けることには制限があります。
申請を考える前に確認したいこと
最大2,000万円という助成額を見る前に、まず自社の開発計画を確認してみてください。
□ 4つの支援テーマのどれに該当するか説明できる
□ どのような試作品を完成させるのか明確になっている
□ 単なる量産設備の導入ではない
□ 開発・改良の主要部分を自社で実施できる
□ 開発後の具体的な販売を計画している
□ 助成対象期間内に試作品を完成できる
□ GビズIDプライムを準備している
□ 同一テーマ・内容で他の助成を受けていないか確認している
判断に迷う項目がある場合は、募集要項で詳細を確認してください。
まとめ|「2,000万円」より先に、開発計画との相性を確認する
「課題解決型技術開発促進事業」の令和8年度第2回の申請期限は、2026年10月30日17時です。
助成限度額2,000万円、助成率2/3以内と規模の大きな制度ですが、重要なのは金額だけではありません。
自社の開発計画が、4つの都市課題、試作品の開発・改良、事業化、具体的な販売計画という制度の考え方に合っているかを確認することが先です。
特に製造業では、「設備を導入したい」という計画と「新しい製品・サービスを開発したい」という計画を混同しないことが重要です。
まずは自社の開発テーマと制度の目的・対象事業を照らし合わせ、そのうえで申請を検討してください。
公式情報
※本記事は2026年9月14日時点の公式情報をもとに作成しています。募集要項、FAQ、申請条件等が変更された場合は内容を更新します。申請を検討する際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。

